タンポポは、一度石畳の上で咲いてみたかった。
上空から見た石畳の模様が素敵だった。運よく石畳の上に着地し、根を張って花を咲かせることができた。でも、ここから石畳の模様を見ることはできない。花のあと茎を伸ばし、少し模様が見える頃にはまた綿毛となって飛んでいくことだろう。
#マイクロノベル
雑草のラウンドアバウト。
じっと見ていると、その草の上を小さな黒い玉が次々と横切り、くるっと回ってどこかへ消えていく。その玉を手に取ろうしたとき、「取ってはダメ」という声が聞こえた。それ以来、黒い玉は見えず、その年は大冷夏になったことを憶えている。