重ねてマイクロノベル

雨上がり、ふらりと夜の散歩に出た。どこからか、ふと甘い香りが漂う。クチナシの花か、どこで咲いているのだろう。こっちだろうかと、探して歩いたものの見つからない。ただ、新しいマンションを建てるのに、去年大きなクチナシの木が切り倒されていたことを思い出した。
#マイクロノベ

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 梅雨と夏との境を見た。樹の幹に垂れ下がって停滞していた梅雨前線が、向こうから張り出してきた太平洋高気圧に押されて、カタツムリとともに消えていった。セミの抜け殻の先には、入道雲が出番を待っていた。
#マイクロノベ

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 (追記:7/26)

どや、今日の焼け具合は。こら、見事やな。うまいこと焼いたなぁ。いくらで買う? え、この夕焼けを売ってくれんの。そうやな、一万㌠。あほか、そんな値で売れるか。ほな、奮発して百万㌠でどや。まだまだ。うーん。ほら、迷てるうちに暗うなってしもたがな。

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fujitama3.hatenadiary.jp